「今、皆さんはどんな世界に生きていますか?」
今回ご紹介するのは、この質問について真正面から向き合い、本気で世界を変えようとした人です。その人の名前は、ホセ・ムヒカ大統領。
日本でも「世界で一番貧しい大統領」としてテレビでも紹介されたことがあるので、知っている人もいるかもしれません。でも、実際にどんなことをして、どういう人なのかまで知っている人は少ないかもしれませ。
それでもホセ・ムヒカ大統領のことをもっと知れば、もしかしたら明日から皆さんの世界の見え方が変わるかもしれません。
それでは、始めましょう!
ホセ・ムヒカ大統領とは?世界で一番貧しい大統領の経歴
ホセ・ムヒカ大統領は南米ウルグアイで2009年から2014年まで大統領を務めた方です。
南米といえばサッカーのイメージを持つ方もいると思いますが、第一回ワールドカップの優勝国はウルグアイですね!
国土は南米でも2番目に狭いですが、経済は安定しており南米の中でも経済的には豊かな国です。
それでも知名度でいうとかなり低い国ですよね。おそらくどこにあるか地球儀を指させるひとはいないのではないでしょうか!
ホセ・ムヒカ大統領は1935年に生まれ、家庭はあまり裕福でありませんでした。
幼少期に父親を亡くし母子家庭で育ち、家族は家の前にある畑を耕すことで生計を維持していました。そんな中でも大学まで進学し、政治や哲学を学びます。
本人の演説でも引用される、哲学者のセネカについてはこの時期に学んだそうです。大学卒業後は、社会主義革命を目指す政党トゥパマロスの一員となり、政治活動を行うようになりました。
社会主義の国というとなんだか独裁者ばかりのイメージがありますが必ずしも北○○のような国ばかりではありません。
彼は1995年に下院議員に初当選、その後大臣などを歴任し、2009年に第40代のウルグアイ大統領に就任をしました。
ホセ・ムヒカ大統領とは?4回も逮捕経験がある大統領!?
大統領になってから言動に注目を集めるようになったホセ・ムヒカ大統領ですが、実は若い頃は超過激な人でした!
先ほどさらっと書いた、社会主義革命を目指す団体というのは、もちろん暴力によってです!温厚そうなムヒカ大統領ですがそんな過去もあったんですね。。意外!
南米のチェゲバラという人を知っている方もいるかもしれませんが、トゥパマロスという政党もその思想に影響を受けている団体です。
要するに、間違っている政治は革命によって打倒すべきだと考えることが、この当時は南米でも一つの流れとなっていました。
世界の歴史でいえば冷戦時期であり、自由主義と社会主義の対立というのが世界的な流れでもありました。
日本でも学生運動が盛んな時期ですので、自らの権利と自由を若い人たちが渇望していた時期だったといえるでしょう。そんな活動の中心にいたホセ・ムヒカ大統領は政治犯として4回も逮捕されます。
若い頃から優しい真面目な人間というわけではなかったみたいですね。
4回の逮捕のうち2回は脱獄を計画するなどなかなかの暴れん坊ぶりです。合計すると14年間ほど収監をされていたそうです。
大統領になってからは「世界で一番貧しい大統領」なんて言われる人も若い頃はなかなかの過激派だったんですね~。
ホセ・ムヒカ大統領大統領は日本とも強いつながり
この世界で一番貧しい大統領、ホセ・ムヒカ大統領は日本とも強いつながりがあります。
ここでそのつながりを表す二つのエピソードをご紹介します。一つは、貧しかった幼少期のことです。
母子家庭で貧しかった幼少期ですが、住んでいた家の近くに日本人の家族もいくらか住んでいたそうです。その家族も決して裕福ではなかったのですが、明らかに自分の家よりも幸せそうに見えたというのです。
それは農業の違いにあったとホセ・ムヒカ大統領は言っています。
ウルグアイでは自分のところの畑だけを耕すことが一生懸命で他の人のことを助けることをあまりしない。
でも日本人は種を分け合い、畑を共に耕し、効率よく農業を行っていました。
この共生の精神によって日本人は豊かな生活を享受することができていると学んだそうです。
なんだか日本人としては嬉しいですよね!もう一つは、ムヒカ大統領が大人になってからの話しです。
自分の家の近くに造船会社で働く日本人家族がいました。その家族には子供がいて、その子供はウルグアイのサッカーチームに入っていました。
ある日、そのサッカーチームが試合をしているのを見ていると、日本人の子供が相手選手のファールによってケガをしてしました。
しかし、その日本人の子供は試合に出続けようとします。でも結局は交代をさせられてしまいます。その時、日本人の子供は人目をはばからず泣き始めたのです。
でもそれはケガが痛くて泣いていたのではありません。
最後まで試合に出続けることができなかったという責任感からくるものでした。
それを見ていたムヒカ大統領は日本人とは「責任感が強い民族」だと学んだと話しています。
ムヒカ大統領には日本人がとても素晴らしい民族に見えたのでしょうね。なんだか誇らしいエピソードですよね。
なぜ、ホセ・ムヒカ大統領は世界を魅了したのか
では、なぜホセ・ムヒカ大統領は世界を魅了したのでしょうか。
それは大統領時代に行きすぎた資本主義や大量生産大量消費社会に疑問を投げかけ、たった一人でも行動したからです。
最も有名な演説が、2012年6月に行われた「国連持続可能な開発会議(リオ+20)」の内容です。
その中で、当時ウルグアイの大統領だった彼は次のような言葉を世界に向けて発信をしました。
「私たちがこの地球に生まれ落ちた理由は、ひたすら発展を求めるためではありません。私たちは、等しく幸福になるために生まれてきたのです。人生は短いし、持ち時間はあっという間に過ぎ去ってしまいます。」
「このようい限りがあるから、人生は貴重なのです。これこそ基本的なものです。」
「貧しい人とは、少ししか持っていない人のことではなく、際限なく欲しがる人、いくらあっても満足しない人のことだ。」
「ベーシックな意味で幸福とは、人間の幸福、地上の愛、人間関係、子孫の擁護、友人を持つことなのです。」
そして、こうした演説とは他に、ホセ・ムヒカ大統領は自らの生活も清貧さを実施していました。
先ず、大統領に就任しても大統領官邸には住まず自らの家に住み続けました。
その家もウルグアイの平均よりも貧しいと思えるようなたたずまいで、外国からの来賓が来たときは友人の家を借りたりもしていました。
その時の彼の行動はあまりにも有名ですが、
「大統領官邸に住んで42人の職員を雇うぐらいなら、学校のために経費を使いたいので、住まない」
とその行動の真意を話していました。
なんか、凄すぎてこの人が大統領だったら・・・って思ってしまいますよね。
ホセ・ムヒカ大統領大統領の言葉から学ぶこと
ホセ・ムヒカ大統領の逸話は他にもあります。
彼は友人からもらい受けた車を今でも所有していますが、ある時アラブの王族からそれを1億円で売ってほしいという話がありました。
筆者だったら絶対に売るな・・・
しかし、ホセ・ムヒカ大統領は友人からもらったものだからそれを売ることはできないと断りました。
「他の人に価値のないことでも私にとっては重要なことなのです。」
さらに、ホセ・ムヒカ大統領大統領は一切の金銭的な欲を持たず、本来の人の幸福とは何かということを世界に問い続けています。
「インド人の全ての人がドイツ人と同様の数の車を持ったら世界はどうなるでしょうか?」
「世界には10万時間以上持つ電気ができているのに、なぜ1000時間以上の電気は売られていないのでしょうか?」
「お金があまりに好きな人たちには、政治の世界から出ていってもらう必要があるのです。彼らは政治の世界では危険です。お金が好きな人は、ビジネスや商売のために身を捧げ、富を増やそうとするものです。しかし政治とは、全ての人の幸福を求める闘いなのです。」
このように今でも精力的に世界に環境破壊や資本主義のあり方を問い続けるなど、世界で一番貧しい大統領は世界に革命を起こそうとしています。
ホセ・ムヒカ大統領。世界で一番貧しい大統領はどんな人だったの?まとめ
2020年1月から世界は新型肺炎ウイルスの感染拡大によって経済的にも精神的にも混乱しています。
しかし、他の側面から見れば、世界の空気汚染は改善されインドでは数十年分ぶりにヒマラヤ山脈の山頂を見ることができるようになりました。
動物園の動物のストレス値が改善され多くの動物は幸せな生活を送っています。
つまり、今回の新型肺炎ウイルスは人間にとって脅威であっても地球全体の生命体から考えれば良いことも起きています。
だからこそ、ホセ・ムヒカ大統領大統領の言葉にもう一度耳を傾けるべきです。
ただ技術革新が進み、大量消費大量生産の時代を続ければ私たちは生きる場所を失うかもしれません。
本当の幸福とは物質的な豊かさだけではなく、精神的な豊かさが伴うものでなければいけないのです。
どんなに綺麗な格好をしても、外出自粛が起きていては見せることも出来ません。
なぜ、消費するのか、その消費に意味があるのか?
目の前の小さな幸せに気づき、ただ垂れ流すような消費社会から私たちは次の世界を築いていく必要があるのかもしれません。
そのヒントを、ホセ・・ムヒカ大統領が与えてくれます!
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