「秘密結社」という言葉は、何だか不思議で、ワクワクする響きですよね。その組織が何を目的としているのか分からないミステリアスさ。そして、内実が全く不明な不気味さ。
存在は聞いたことがあっても、実の全く見えない秘密結社の中で、最も有名なものに「フリーメイソン」という組織があります。映画や書籍などで、聞いたことの有る人も多いのではないでしょうか。
フリーメイソンという組織は有名なだけあって、様々なエピソードが知られています。その中でも興味深いのが、組織の成り立ちそのものについて。
この記事では、フリーメイソンという組織がどのようにしてできたのか、その起源について、いくつかの有力な説をご紹介していきます!!
フリーメイソンってどんな組織?
名前は聞いたことがあっても、「よく分からない……」で終わってしまうもの。それが、フリーメイソンですよね。
では、実際の所、フリーメイソンとは何を目的とした、どんな組織なのでしょうか??
後にも触れますが、フリーメイソンが発足した時代は、はっきりとわかっていません。中世のイギリス(およそ16世紀あたり)に端を発したと言われていますが、もっと時代をさかのぼるとされる説もあり、謎に包まれています。
フリーメイソンについて唯一はっきりしていること
フリーメイソンについて確実に分かっていること。それは、5つの基本理念を持つということと、組織内の階級制度が存在しているということ、そして、その会員は世界各国に現在もいるということです。
まずは、5つの基本理念から説明していきましょう。
フリーメイソンには、会員が持つべき5つの精神が定められています。それが、自由・友愛・平等・寛容・人道です。この理念からも分かるように、フリーメイソンには慈善活動クラブとしての側面があります。
病院や、会員の家族のための慈善施設(夫を亡くした場合に使える)などを運営しているのです。また、フリーメイソンの会合は会員同士の社交の場でもあります。
組織内の階級制度とは、(実際の身分に関わらず)組織内で通用する階級が存在するということです。
この階級は、時代によって多少変化しています。しかし、その軸にあるのは「親方」・「職人」・「徒弟」というもの。親方が一番高位で、徒弟はその逆です。「親方」は「マスター」とも呼ばれ、各支部の責任者的立場にあたります。
一番会員数が多いのはどこ?
会員は組織に入会するため、または昇進するために、さまざまな試練を受ける必要があると言われています。
そして、フリーメイソンは過去のものではなく、現在でも多くの会員が存在しています。会員は世界各国に散らばり(勿論、日本も例外ではありません)、特に多くの会員数を抱えるのが、アメリカ合衆国です。この中には、政治的有力者も少なくはありません。
これだけの情報を並べても、フリーメイソンという組織の姿はイマイチ掴めませんよね。しかし、怪しいだけの組織ではなく、ある意味で「必要な」組織だということが分かるでしょう。
多くの著名人が所属した組織
フリーメイソンと言えば、多数の著名人が所属していたことでも知られています。
代表的な著名人と言えば、「魔笛」で知られるアマデウス・モーツァルトが挙げられるでしょう。この「魔笛」には、フリーメイソンを象徴するような意匠が凝らされており(主人公が受ける試練など)、彼とフリーメイソンの関わりの深さがうかがえます。
また、「シャーロック・ホームズシリーズ」の作者として知られるコナン・ドイルも、フリーメイソンの加入者の一人です。
フリーメイソンの会員は、ここに挙げた作家や芸術家だけに留まりません。中世の貴族から、近世の政治家(ジョージ・ワシントン)など、多岐に渡っています。
このことからも、フリーメイソンが広く世界に受け入れられた組織だということができるでしょう。
フリーメイソンの起源、3つの仮説
先にも述べてきたように、フリーメイソンそのものは有名であり、確かに実在している組織でもあります。
しかし、その組織がどうしてできたのか、という面においてははっきりわかっていません。いくつもの説が乱立し、確定することができないのです。
ここでは、諸説あるフリーメイソンの起源について、有力なものを3つご紹介していきます。
中世のギルド由来説
ゲームなどでお馴染みの「ギルド」という言葉。ご存知の方も多いですよね。諸説あるフリーメイソンの起源の中で、一番有力なものが、このギルドを由来とする説です。
ギルドとは、中世のヨーロッパで作られた職業別の組合のようなもの。中世では当たり前であった徒弟制度(職業内で、親方・職人・徒弟という階級に分かれる)を基礎として、同職の親方同士で組合を作っていたのです。
ギルドでは、商品の品質を一定に保つ基準を定める他、組合員同士で助け合えるような制度などを作っていました。
会合場所のリッジと暗号のなぞ
フリーメイソンの起源になったと言われているのは、ギルドの中でも石工職人を中心としたギルドです。彼らは宮殿や修道院などの建築・改修に関わり、「ロッジ」と呼ばれる集会所で会合を開いていました。
フリーメイソンには、会員同士で使われる暗号があります。それが、建築道具をお互いに見せ合うというもの。石工職人と建築道具は、関わり深いものです。
また、フリーメイソンが持つ慈善性は、ギルドの目的に即していると言えるでしょう。そして何より、フリーメイソンとギルドで使われる階級が同じと言う点には、目を見張るものがあるでしょう。さらに、フリーメイソンが会合を行う際の集会所は「ロッジ」と呼ばれているのです。
このように、ギルドとフリーメイソンには沢山の符合があります。一番有力な説と言われるのも納得でしょう。
薔薇十字団由来説

15世紀のドイツに端を発する「薔薇十字団」を、フリーメイソンの起源として考える説も存在します。
薔薇十字団とは、本当に謎の多い、神秘主義的な秘密結社です。クリスチャン・ローゼンクロイツという人物が始祖とされており、不老不死を追い求める組織であったとされています。
フリーメイソンの基礎ができあがってからそれなりの時間が経つと、その内容はどうしても変容を避けられません。最初の内は確かに「明らかな目的のために行動する」組織であったものが、「考える」組織に変化していったのです。薔薇十字団はこの変容の時期に、フリーメイソンと接触しているとされています。
薔薇十字団とフリーメイソンが接触した結果、新しいフリーメイソンが生まれました。これは、以前のものとは全く違います。正に、新生フリーメイソン。これが、今に残っているというのです。
フリーメイソンが持つミステリアスさは、この薔薇十字団からきているのかもしれませんね。
テンプル騎士団由来説
イスラム教・キリスト教・ユダヤ教の聖地であるエルサレムへの巡礼者を守るために結成された「聖堂騎士団(テンプル騎士団)」。これを、フリーメイソンの起源と考える説も存在しています。
テンプル騎士団が結成されたのは、1120年頃のフランス。その当時は、十字軍の手によってエルサレムが奪還されたばかり。いくら聖地に巡礼したくとも、その道中は危険に満ち溢れていました。
そんな旅人を保護するために結成されたのが、テンプル騎士団です。
大きな組織へと変化したテンプル騎士団
はじめは戦う修道士たちで構成されていたものの、その思いに賛同する人々が多く集まりました。その結果、平民から貴族まで所属するような、大所帯の組織となりました。
その勇猛さは有名で、高い戦闘力を持つ組織だったと言われています。
13世紀末のこと。テンプル騎士団は時のフランス国王・フィリップ4世に目を付けられることになります。彼らが持つ資金を国庫に入れたいがために、騎士団の団員を「異端」として逮捕、処刑や拷問を行ったのです。
このとき、異端審問から逃れ、イギリスに逃げた団員がいました。その生き残り達は「ヘレドム山」に集結し、後にフリーメイソンとなる組織を結成した、と言われています。
ヘレドム山という山は実在しないようですが、なんとも夢がある話ですよね。
フリーメイソンの起源とは!世界を操る悪魔か?救世主なのか?謎多きグループの起源を解説!まとめ
フリーメイソンという組織、その起源についてご紹介してきました。
フリーメイソンにまつわる話は、現実味のあるものから「どうかな……」と思えるものまで様々です。
しかし、読んでいるとなんだかワクワクするような、不思議な魅力を持つものばかり。さまざまな起源説ができあがっていったのも、そんなフリーメイソンの魅力を物語っています。
モーツァルトの「魔笛」をみながら、フリーメイソンに想いを馳せてみましょう。きっと、この組織を知る面白さに目覚めるはずです。
・「フリーメイソン 」(講談社現代新書)1989年 吉村 正和
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