アフガニスタンとタリバン
さて、ここまでアフガニスタンの歴史について解説してきましたが、現在に目を向けると「アフガニスタン」と言う言葉と共に多く用いられているのが「タリバン」という言葉ではないでしょうか。
ここではその「タリバン」について解説していこうと思います。
タリバンとは

まず、タリバンとは何か、という事なのですが、一言で言うと、「イスラム原理主義組織」です。
タリバンとはアフガニスタンの公用語であるパシュトー語で「学生たち」を意味し、反ソ連のムジャーヒディーンによって形成されたイスラムスンニ派の組織です。
元々、アメリカの CIA とパキスタンの情報機関である ISI に支援されており、ソ連と対立するという点でアメリカとの仲も悪くはありませんでした。
しかし、2001 年 9 月 11 日のアメリカ同時多発テロを引き起こしたイスラム過激派のアルカイダを匿っていたため、一気にアメリカを中心とする連合国との関係が悪くなっていくのです。
タリバンは何が目的?
では、タリバンの目的とは何なのでしょうか。タリバンの目的は、イスラム教の聖典であるコーランに対して厳格な国家を作ることが目的であると言えます。
純粋なイスラム国家を作る上では、多民族や、他国の干渉は不要であり、いわば「異物」というわけです。
そんな異物をアフガニスタンの地から排除するために立ち上がったのがタリバンであり、今日では支配するまでに至っています。
タリバン政権はなぜダメなのか
前述した通り、イスラム原理主義であるタリバンはイスラム国家を作ると、当然のようにイスラム法をそのまま法律として適用しました。
それは、「女性は外出時にはヴェールを着用する」、「女性の就学、就労の制限、音楽の制限」など、女性に対する差別とも言えるようなことが法律として定められていることになります。
また、その法を犯したものには石投や鞭打ち、手足の切断や死刑などの厳しい刑罰が適用されることになります。
これはコーランに書いてあることであるから放っておけばいいのに、という意見もあるかもしれませんが、現代では他のイスラム国家ではそのまま適用されることはほぼないことがこの組織の異常性を物語っていると言えるでしょう。
アフガニスタンの歴史をわかりやすく解説!まとめ
このような過激な原理主義によって多くの国民は恐れ、外国諸国も問題視している現状にあるのです。
このような組織はどこから資金を得ているかということなのですが、それは貧窮した国民がアヘン(麻薬の一種)の原料となるケシを作り、タリバンに売り、それを他の組織や外国に売って資金を得ていると言われています。
農民は命令や搾取されてケシを作っているのではなく、外国の度重なる経済制裁や戦争によって困窮し、他のものを栽培しても十分な生活資金を稼げないことから仕方なく作っていると言われています。
現在、我々が住む日本は、アメリカ主導の西側の一員として、アフガニスタンに対し、対テロ政策を取っていますが、前述のことが本当であるならば、対テロ政策が勢力拡大の資金源になっているという捉え方もできます。
現代は様々なことが複雑に絡み合い、互いに関係している非常に難しい時代であると言えるでしょう。
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