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スンニ派とシーア派の違いって何?なぜ対立するのか?わかりやすく解説

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 こんにちは!

みなさんは、スンニ派・シーア派という言葉を聞いたことはありますか?

どちらもイスラム教という宗教の宗派です。(イスラム教は、イスラーム教やイスラームと言う場合もありますが、ここではイスラム教と表現します)

イスラム教というと、「怖い」「テロ」といったネガティブなイメージが浮かぶのではないでしょうか。

そうすると、スンニ派・シーア派と聞いても「どっにしても危険で、怖い教えでしょ?」なんていう風に思ってしまうかもしれませんね。

さらに、対立してるなんて聞いたら‥より危ないと感じてしまうかも。

今日は、イスラム教という宗教から話を始めてスンニ派・シーア派の違い、対立する理由について解説をしていきたいと思います!

そもそもスンニ派、シーア派に分かれるイスラム教とは?

イスラム教とは、簡単に言ってしまうと「唯一の神であるアッラーの存在とその教えを信じる」宗教です。

日本やインドのように、あっちこっちに神様がいるという感覚は全くありません。トイレには、それはそれは綺麗な神様がいる‥なんて言っても、イスラム教を信じる人には理解してもらえない可能性があります。

ここまで聞いて、「他にもただ1人の神様を信じてる宗教なかったっけ?」と思った人がいるかもしれません。

その直感は正しいです。ズバリ、ユダヤ教とキリスト教です。

ユダヤ教、キリスト教、イスラム教は兄弟!?

実はユダヤ教、キリスト教、イスラム教では唯一の神を信じています。

ユダヤ教では「ヤハウェ」、キリスト教では「ゴッド」、イスラム教では「アッラー」のように呼び名を変えていますが、どれも同じ存在を指しています。だって、唯一の神なんですから。それぞれ別の存在を指していたら、唯一の神ではなくなってしまいます。

ただし、それぞれの神様の個性が少し違います。

ユダヤ教において唯一の神ヤハウェはユダヤ人しか救わない。キリスト教において唯一の神ゴッドは人間を救うためにイエスという存在を遣わした。(イエスは人間ではなく、神が姿を変えて現れたとする考えが有名)

これに対しケチをつけたのがイスラム教です。「ユダヤ人だけが救われるなんておかしい」「イエスはあくまで1人の人間でしかない、神聖視するのはおかしい」とするのがイスラム教です。

イスラム教ではあくまで、「唯一の神であるアッラーとその教えを信じるものが救われる」とシンプルに考えたのです。

このように誕生した順に見ると、ユダヤ教が長男、キリスト教が次男、イスラム教が三男と言えるわけです。

イスラム教の教え

ここでは、もう少しイスラム教について掘り下げてみましょう。

神の教えといっても、具体的には何なのか??

これを端的にまとめた言葉が六信五行と呼ばれるものです。簡単に言えば6つの存在を信じて、5つの行為を行うということです。

神以外にも信じなきゃいけないものがあるんかいと思うかもしれません。神を信じるのであれば、神の言葉を記した書物やその言葉を聞いた人などを信じる必要もあるのです。

また、その神の存在を信じるのであれば行動で示さなきゃならないのです。とくにキツいのが1日に5回するお祈り‥。

筆者ならどこかのタイミングで絶対にサボってしまいますね。

仕事中だろうが何だろうがお祈り最優先ですので、皆さんがイスラム教徒の人と仕事をするときに急に出ていっても止めてはダメですよ。

またイスラム教徒は平等とされ、お互いを助け合う精神を重要視しています。財産を持っているものが、貧しいものに対して寄付を行うことが定められているのです。

神の前の平等を説き、互いに助け合う‥
これがイスラム教です。決してテロを行う野蛮な宗教というわけではありません。

スンニ派とシーア派について

アッラーという唯一の神とその教えを信じ、互いに助け合う‥

こんなシンプルな宗教で、なぜ2つの考えに分かれてしまったのか。

これについては教えそのものに関する解釈の違いが原因ではなく、別のことに理由があります。

スンニ派とシーア派に分かれた経緯

皆さんはイスラム教の開祖についてはご存知でしょうか。

イスラム教はムハンマドという商人が洞窟で瞑想していた時に、天使ジブリールから神の言葉を授けられたことが始まりです。

ムハンマドは神からの言葉を預かった預言者(予言者ではないですよ)として目覚め、人々に神の教えを説いていきます。

紆余曲折を経て、イスラム教は一大勢力となっていきました。

ここまではよかった・・・・・。問題は、ムハンマドの死後です。

誰がイスラム教徒たちをまとめ上げるのか。ムハンマドの後継者になるべき人は誰か。

ここで2つの考え方が生まれました。

1つは、ムハンマドの血筋に関係なく実力者がイスラム教徒のリーダーとなり、ムハンマドの教えを大切にしていこうという考えです。

もう1つは、ムハンマドの血を引くアリーという人物の子孫が後継者となるべきという考え方です。

前者がスンニ派、後者がシーア派と呼ばれるようになりました。

スンニ派について

スンニとは、「ムハンマドの言行」を指しています。ムハンマドの教えに忠実な実力者こそがリーダーとしてふさわしいと考えます。

この考え方は、我々にも分かりやすいですね。大きな集団を率いるのにはある程度のカリスマ性が必要になってきます。ポンコツではムハンマドの後継者になれません。

またスンニ派では、イスラム教徒全体に関わる事はみんなの意見を聞いて決めようとします。

スンニ派はイスラム教徒の9割を占め、圧倒的に多数派です。

スンニ派を国教とする国はいくつかありますが、指導的な立場にある国はサウジアラビアです。

シーア派について

シーア派はもともと「シーア・アリー(=アリーの党派)」という言葉から来ています。アリーとはムハンマドの血を引く後継者のことです。

ムハンマドの血を引くアリーの血縁者こそ後継者とふさわしいと考えるので、アリーの党派と呼ばれています。

この言葉からアリーが省略され、党派を意味するシーアという言葉が残りました。ややこしいですね。シーア派を日本語にすると、党派派となってしまいます。

個人的にはアリー派と呼ぶのが1番しっくりきます。

ところで血の繋がりを理由に後継者を選ぶなんておかしいと思うでしょうか。この考え方は古今東西さまざな場所や時代で使われていました。

日本でも天皇や将軍は血筋をもとに選ばれてきましたよね。偉大なる人物の血を持っていることがブランドだったのです。

ましてや唯一の神から教えを聞いたムハンマドの血といったら、それはそれはブランドがあるわけです。

そのため、イスラム教徒全体に関わることを皆んなで決めることはしません。決めるのはあくまでもムハンマドの血を引く者のみです。

シーア派はイスラム教徒の中で1割程度しか支持しておらず少数派です。

シーア派を国教とする国といえばイランです。

対立するスンニ派とシーア派

こうしてお互いに助け合うことを良しとするイスラム教徒がスンニ派とシーア派に分かれてしまいました。

ここからは、他にどのような理由で対立をするのか見てきたいと思います。

対立の理由① 教義の違い

スンニ派とシーア派に分かれた後、アッラーの教えに関する解釈も分かれていきました。

たとえば、先ほどお話した六信五行。これ実はスンニ派の考え方です。シーア派では五信十行となります。またお祈りの回数もスンニ派が5回に対して、シーア派は3回です。

お祈りの回数が少し違うくらいならいいかもしれませんが、他に相容れない考えがあります。

1つは、シーア派におけるイマームの存在です。イマームとはムハンマドの血を引く歴代の指導者たちのことを指します。彼らもムハンマドと同じように崇められました。

これはスンニ派の人たちからしたら気に入らないのです。「なぜムハンマド以外の人間をそこまで神聖なものとして扱うのかと」と・・・

2つ目は、偶像崇拝の禁止についてです。もともとイスラム教では、偉大な神を絵や銅像で表現してはいけないと考えています。スンニ派はこの考え方に忠実で、神はおろかムハンマドですら描こうとしません。

しかしシーア派の人々は、偶像崇拝について緩くイマームの人々を絵に書きます。これもスンニ派の人たちからしたらおかしいと思われているのです。

対立の理由② 利権を巡って

次に経済的な利権をめぐる対立に注目してみましょう。

スンニ派の国といえばサウジアラビアであると言いましたが、実は国内にシーア派の人たちも住んでいます。

サウジアラビアは石油が取れる国として有名で、石油のおかげで国が豊かなのですが‥なんとシーア派の人たちが住んでいるエリアから多くの石油が取れるのです。

しかしスンニ派の人たちが中心のサウジアラビア政府は、シーア派の人たちが住んでいるエリアに学校や病院などのインフラ設備を作りませんでした。

スンニ派からしてみれば、「自分たちと考えが違うシーア派にお金を使いたくない」という思いがあるのでしょう。

一方でシーア派からしてみれば、「自分たちが住んでいるエリアから取れた石油のおかげでお金が儲かっているのに、なぜ我々の生活を豊かにしてくれないんだ」と思うでしょう。

このように経済的な利権をめぐる対立が各地で起きているのです。

これは国家間の対立にも発展して、スンニ派の国家であるサウジアラビアとシーア派国家であるイランは仲が悪いです。

「スンニ派とシーア派の違いってなに?どうして対立するのか?分かりやすく解説」まとめ

いかがでしたか。

イスラム教の始まりからスンニ派とシーア派の対立までをお話ししてきました。

日本人には馴染みのない話ですが、これから先イスラム教の人々と関わる機会が増えてきます。

アメリカがサウジアラビアに対する興味を失いつつあるいま、サウジアラビアは様々な国との関係構築を進めています。2017年にサウジアラビア国王が来日したのは、この政策の一環です。

また、日本から1番近いイスラム教国家といえばインドネシアです。日本に観光のため訪れる人がここ数年で急激に増えています。

日本の空港でイスラム教徒の人たちが祈りを捧げる部屋を作ったのも、このためでしょう。

「イスラム教なんて遠い国の宗教だしムハンマドなんて昔の人」と思わず、現在の問題として考えていただければ幸いです。

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